CIP4用語集

CIP4 JDFと工程自動化に関する用語集

この用語集はCIP4標準ではありません。中には、限定的で非常に専門的に定義されている用語もあります。用語集の定義とJDF仕様書の定義に矛盾がある場合は、標準であるJDF仕様書が優先されるものとします。

用語 定義
エージェント JDFおよびJMFを作成するJDFベースのワークフローの構成要素。
属性 XML要素の特性の記述に用いられるXMLコンストラクト。例えば、JDFリソース要素の「色」は「Lab」という属性を持っており、その「Lab」属性は100%色価値の特定染料のL a* b*値を提供する。他の例では、JDFリソース要素の「デジタルデリバリー」は「Method」という属性により、Eメール、ISDNソフトウェア、ウェブサーバ、インスタントメッセージなどを使ったデジタルファイル送信が可能となる。
CIP3 「International Cooperation for Prepess, Press, and Postpress」(プリプレス・プレス・ポストプレスのための国際団体)の略。CIP4の前身となる団体で、PPFを考案。
CIP4 「The International Cooperation for the Integration of Processes in Prepress, Press and Postpress organization」(プリプレス・プレス・ポストプレスにおける工程の統合のための国際団体)の略。スイスのチューリッヒで2001年に設立された国際的な非営利団体。コンピュータを使って、グラフィックアート業界におけるすべての工程を統合することを推奨し、標準となる仕様書を作成する。
コントローラ JDFベースのワークフローの構成要素で、ジョブを実行するデバイスを選び(ワークフローが責任を負う範囲内)、エージェントからJDFを受け取って送るのに加え、ジョブステータスに関する情報を伝える。
デバイス JDFワークフローの構成要素で、JDFを解析し、指示を実行する。デバイスとは、製品ベンダーが独自に開発した方法でマシンを制御するソフトウェアや、JDF指示を直接実行するRIPなどのソフトウェアを指す。
要素 JDFの構造化データを記述するXMLベースの構文コンストラクト。JDFは印刷ジョブに関する構造化されたメタデータであり、基本的なXML構成単位が「要素」である。JDFの最上位要素は「JDF要素」で、印刷ジョブを互いにネストする複数のJDF要素に分けることが可能となる。ネストした各JDF要素は「ノード」と呼ばれ、これらのノードは、面付け、色校正、フィルムから刷版へのコピー、スクリーニング、カバーアプリケーション、箱詰めを初めとするジョブの全工程要素のノードとなる。
IFRAトラック IFRAのジョブトラッキングおよび情報メッセージの標準であり、JDFを補足する。
IMF IFRAメッセージングフォーマット(IFRA Messaging Format)の略で、IFRAトラックの構成要素。
インスタンス 「JDFインスタンス」や「XMLインスタンス」はよく使用される。JDFデータはMIMEコード化によりコンテンツファイルにバインドされるが、コンテンツファイルとは独立して存在する。それでは、JDFファイルをどう呼ぶか?「文書」とすると、コンテンツファイルと混同する。プリンタや顧客が参照する「文書」はJDFを指すのではない。これはXMLの他のアプリケーションにも共通する問題で、通常はXML(ここではJDF)を指す用語として「インスタンス」を使用する。
JDF ジョブデフィニションフォーマット(Job Definition Format)の略。CIP4の主要工程自動化仕様の総称。また、ノードを含むJDF内の最上位要素であるJDF要素も存在する(「ノード」については該当欄を参照のこと)。JDFの基本機能は、印刷ジョブ工程全体の記述に使用するメタデータの提供、フレキシブルワークフローの自動化の方法提供、ワークフローやMISシステムが新しいデバイスのJDF機能を決定するためのクエリ実行、ワークフローやMISシステム作業現場でデバイスに指図するための指令言語の提供である。
JDF ユーザ JDFインスタンスを使用(または解読、利用)するデバイス、コントローラ、工程、キュー、エージェント。
JMF ジョブメッセージングフォーマット(Job Messaging Format)の略。マルチレベル機能を備えた通信フォーマットで、JDFの一部である指令言語。JDFと同様、JDFの中で最上位要素であるJMF要素も存在する。JMFはJDF仕様書内で定義されているものであり、独立したCIP4標準ではない。
ジョブ JDFでは、ジョブは階層ツリー型に構造化された1つあるいは複数のノードから構成され、顧客が要求するアウトプットの記述を行う。例えば、「ジョブ」は印刷済みの紙の束を意味する場合もあるし、印刷済みの紙自体を意味する場合もある。「ジョブ」はまた、完全命令の精度の各レベルを指す場合もある。「ジョブ」とは、プリンタではプレスを1回転して印刷が行われた紙の束と解釈し、バインダーでは複数の紙と表紙から構成される一冊の本と解釈する可能性もある。さらに、エンドユーザは1回の契約で製造された本すべてと理解している可能性もある。
ジョブパート JDF対応MIS、ワークフローおよび製造管理システム関連への関与を管理する最小レベルを構成する1つあるいは複数のノード。
マシン JDFを使用しないソフトウェアアプリケーションおよびハードウェア機器。マシンは、独自仕様の方法で接続されたJDFデバイスによって管理される。
マネージャ マネージャインターフェースを実装するソフトウェア。マネージャインターフェースとは、JDFインスタンス、JMFメッセージ、他のデータ(ネットワークなどを介して)を、下層階([JDF1.3] 図2.1を参照)のデバイスやコントローラのワーカーに送り、デバイスやコントローラのワーカーから情報を受け取る(ネットワークなどを介して)ためのインターフェース。
MIS JDFワークフロー機能の一部であり、全工程およびシステム構成要素とシステム制御間の通信を監視する。JDFにおいては、ワークフロー、製造管理、プレスルーム管理システム、印刷MISシステムなどを含む包括的用語として使われており、MIS(管理情報システム)の広義の用法と混同しないこと。JDFにおける「MIS」は、MISの広義的な用法に含まれる管理報告、財務システム、会計およびその他の機能を必要としない。
ノード 最終・中間製品やリソースを製造するのに必要なリソースおよび工程仕様の詳細を類別するJDF要素の一種。
パーティション JDFでは、ジョブを構成する個々の物理的・論理的パーツを「パーティション」と呼ぶ。コードパーティションは、リソース要素の「PartIDKeys」という属性によって指定される。
PDL ページ記述言語「Page Description Language」の略。印刷されるページを記述する言語の一般的用語。PDF®、PostScript®、PCL®などがある。
PJTF アドビシステムのポータブルジョブチケットフォーマット「Portable Job Ticket Format」の略。JDF仕様書で直接JDFにマップされている。
PPF インクキープリセットシステムで幅広く使用されているCIP3のプリントプロダクションフォーマット(Print Production Format)仕様。CIP4が管理している。
工程 製造ワークフロー内の各段階。
キュー JMFメッセージシステムを介してデバイスのためにジョブエントリを承認・管理する構成要素。
リソース JDFノードによって修正・使用される物理的および論理的構成要素。各工程にはインプット、アウトプットがある。1つの工程のJDFでのアウトプットは次工程のインプットとなる。そのため、インプットとアウトプットは総称して「リソース」と呼ばれる。リソースの例としては、紙、画像、工程パラメータが挙げられる。
タグ XML要素の始まりと終わりを示すXMLコンストラクト。
ワークセンター タスクを遂行できる部門および下請け会社のような組織。
ワーカー ワーカーインターフェースを実装するソフトウェア。ワーカーインターフェースとは、JDFインスタンス、JMFメッセージ、他のデータ(ネットワークなどを介して)を、上層階([JDF1.3] 図2.1を参照)のコントローラやMISのマネージャから受け取り、コントローラやMISのマネージャに情報を送る(おそらくネットワークを介して)ためのインターフェース。

 

ページ、シート、組版、フォリオ:現代における旧定義

ページ」という用語は印刷に関する会話で頻繁に使われます。しかし、グラフィックアートの技術仕様においては誤解を招く恐れのある用語です。文書のページ「1」とは、最初のページなのか面付けのページ1なのか、それとも1と番号を振られた最初のページなのか?JDF仕様書の用語セクションにはさらに詳しい定義が記載されていますが、一般に、「読者ページ」は読者が手にする完成品に適用され、「完成ページ」は裁断、折り、綴じが終わった最終品に適用されます。

」「」完成ページは、「紙葉」の手前および向こう側のページを指します。つまり、右・左完成ページが複数ある紙は、複数の「紙葉」となります。

組版」は一連完成ページの面付けの集まりを指し、印刷機のロール紙や印刷サイズに裁断された紙を意味する「シート」に印刷されます。シートにも「右」「左」が存在する場合があり、印刷機を通る方向を明確にするため(フィーダーに対して上向き、下向きあるいはロールから離れる)に使われます。さらに、「折り丁」は印刷されたシート(折り済みあるいは折りが済んでいない)を指し、「サーフェス」はシートおよび折り丁の1つの面を意味します。

完成ページすべてにページ番号が振られているわけではありません。72ページの本に68ページしか番号が振られていないという場合もあります。この時、番号が振られているページを「フォリオページ」または「フォリオ」と呼びます。また、本のページカウントには表紙を含まないのが通例です。よって、本は「72ページ本プラス表紙ページ4枚」や「プラス表紙」と説明されます。表紙ページは「表紙1」(前表紙)、「表紙2」(前表紙の裏)、「表紙3」(裏表紙の裏)、「表紙4」(裏表紙)に分けられます。

オーバーカバー、ラップ、表紙に糊付けされたページなどの特別な場合は、綴じているが印刷されていない挿入部分、あるいはその他付属部分として扱われます(例:綴じの段階まで別のジョブとして扱われる)。JDF仕様書で「ページ」という用語が使用されている場合は(完成ページや読者ページと異なる)、「完成ページ」の意味と解釈します。