CIP4とは?

CIP4とは、プリプレス・プレス・ポストプレスの工程統合管理のための国際標準化団体(The International Cooperation for the Integration of Processes in Prepress, Press and Postpress Organization)で、米国司法省および連邦取引委員会に標準化団体として登録されている非営利組織です。CIP4は、スイスで設立され、常駐事務所を所有せず、各国に代表事務所を構える国際団体です。CIP4は、各種装置、ソフトウェア、周辺機器、工程などを網羅する通信・印刷業界、グラフィックアート業界や関連分野のベンダー、コンサルタント、エンドユーザをまとめる役割を果たします。CIP4会員は集中ワーキンググループに参加し、ジョブデフィニションフォーマット(JDF)の新版を作成し、ユーザのニーズを研究し、JDFソフトウェア開発キット(SDK)を制作しています。

現在CIP4には、313の会員が所属しています。会員は、着実に増加しており、毎月新規の申し込みがあります。CIP4はWebEx上で活動を行います。WebEx上には約20の技術・管理ワーキンググループが存在し、WebExを通して毎週「交流」するグループもあります。したがって、CIP4は素晴らしい進展を見せていますが、数年前では考えられなかったことです。毎年世界各地で約6回のface-to-face会議があり、定例会の開催は、GraphExpoと共に行われます。

CCIP4は2000年9月に発足しました。CIP4の前身であるCIP3は、1995年にハイデルべルグ社が立ち上げ、フラウンホーファーコンピュータグラフィックス研究所を運営していました。CIP3はプリントプロダクションフォーマット(PPF)を考案し、インクキープリセッティングやポストプレス作業において成果をあげました。PPFは独自フォーマットで記述されたため、CIP3はXMLへの移行を考えました。やがてアドビ社、ハイデルべルグ社、アグファ社、マンローランド社が協力してジョブデフィニションフォーマット(JDF)というXMLベースのジョブ・チケットを考案し、仕様書の管理をCIP3に引き継ぐよう依頼しました。ただし、CIP3がすべてに対しオープンである公的非営利団体として組織を再編すること、という条件付だったため、CIP3は組織を再編しました。

グラフィックアート技術財団が産業建築プロジェクトを、IFRAがifraトラックなどを考案したように、アドビ社は印刷のメタデータ互換方法を考案するその他の試みとしてポータブルジョブチケットフォーマット(PJTF)を考案しました。各メタデータプログラムには特有の欠点や課題、改善点がありました。JDFは一度きりの「試み」ではなく、下記に挙げる努力の結果得た経験の上に築かれたものです。

  • メタデータをプロダクションファイルやポストスクリプト(PJTFやifraトラック)に埋め込むことに理由はない。フロントエンドシステムがこうした大容量のプロダクション・ファイルを処理できないということは稀である。
  • メタデータはデータストアからデータストアへ移動できるように類別され、構築されるべき(IAP)。
  • 基本言語はオープンでプログラミングツールに広く使用されるものなのでXMLであるべき。(全)
  • JDFが開発される環境は公的でオープンな環境であるべき。(全)

PJTFとPPFはJDFに「マップ化」されています。JDF文書にはPJTFやPPFからJDFへ移行する指示を記載した付表があります。

JDF仕様書の草案作成者4名は、2001年にCIP4へ草案を移行し、JDF1.0を発行しました。しかしJDF1.0を実施するのは不可能だったと言われています。むしろ、CIP4の会員が作成、変更、改善することのできる「たたき台」文書でした。2002年4月にJDF1.1が、同年10月には1.1aが発行され、仕様と付属スキーマが大きく変更されました。現在市場で目にする機器の多くはJDF1.1とJDF1.1aに準じて製造されています。本コースは2004年4月に発行されたJDF1.2を基本にしています。会員が新版JDF1.2に準じてシステム開発を行ったため、JDF1.2の機能を備えた製品が多数2004年のdrupa(国際総合印刷機材展)で公開されました。

JDFは4つの単純な階層で管理されています。「プリプレス」や「デジタルプリンティング」などのワーキンググループでは、各分野に適した変更を求めて意見を交わしています。該当する変更は、仕様書内のすべての変更を検討・承認する技術運営委員会(TSC: Technical Steering Committee)へと提出されます。TSCは、ワーキンググループ間で発生した問題を解決し、JDF仕様書とスキーマの全体構造が正しく機能するよう管理します。承認された変更は文書変更を担当する編集長に渡されます。最後に、技術専門家が承認された変更をスキーマに実施し、スキーマと仕様書を一致させます。